分譲マンション市場が再び活況を呈しています。住宅ローン減税と低金利政策によって購入しやすくなっているだけに、いまマンションを購入しようと考えている人もいるでしょう。とはいうものの、各社が競って展開しているマンションブランドの中には見慣れないものもあり、その特色も広告からは見えにくい…。そこで、月刊誌福岡2001と福岡2001.Netではインターネットを活用し、福岡都市圏在住者を対象に、マンションブランドに関するアンケート調査を実施。「認知度」「クオリティー」「好感度」「営業・企画力」「総合」の5項目に分け、回答者の属性別に詳細に分析しました。福岡人がみた「マンションブランド」のイメージランキングをご覧ください。(2000年6月号掲載)

福岡人がみた「マンションブランド」イメージアンケート概要
■調査方法 「福岡2001」ホームページ上でアンケートを実施。
有効回答107人(男性61人、女性46人)
■調査期間 2000年3月〜4月
■調査対象 福岡都市圏で配布されたマンションのチラシから任意抽出。対象ブランドは次の通り(カッコ内は会社名)
ダイアパレス(ダイア建設)/ネオグランデ(大和団地)/ロイヤルシャトー(大和ハウス)/サンリヤン(西鉄)/パークハウス(三菱地所)/東急ドエル・アルス(東急不動産)/アーサー(アーサーホーム)/グランドメゾン(積水ハウス)/JGMヴェルデ(じゅう)/アーバンパレス(第一交通産業)/アンピール(新栄住宅)/エバーライフ(ソロン)/コアマンション(ユニカ)/MJR(JR九州)/パークホームズ(三井不動産)/ロワール(ロワール)/サーパス(穴吹工務店)/アメックス(アーム・レポ)/エイルヴィラ(作州商事)/エンゼルブレッサ(アゼル)/ピアセント(ヤマエ久野)=計21ブランド   ※順不同
 
 

■回答者の性別内訳
 男性61人(57%) 
 女性46人(43%)

■回答者の年代別内訳
 20代   25人(23%)
 30代   54人(50%)
 40代   21人(20%)
 50代以上 7人(7%)


■表A 「認知度」上位ブランド
(「名前を良く知っている」+「広告で良く見る」) *N=214
順位 ブランド名 回答率
(%)
1 ダイアパレス 64.0
2 アンピール 56.1
3 サンリヤン 48.1
4 ロワール 45.8
5 JGMヴェルデ 45.3

■表B 「クオリティー」上位ブランド
(「品質が良いと思う」+「高級感がある」)*N=214
順位 ブランド名 回答率
(%)
1 ダイアパレス 15.9
2 ロワール 10.3
3 東急ドエル・アルス 9.3
4 ネオグランデ 8.4
5 グランドメゾン 7.5
5 JGMヴェルデ 7.5
5 パークホームズ 7.5

■表C 「好感度」上位ブランド
(「親しみがある」+「信頼性が高い」)*N=214
順位 ブランド名 回答率
(%)
1 サンリヤン 17.3
2 アンピール 11.2
3 サーパス 11.2
4 ロワール 10.7
5 ダイアパレス 9.8

■表D 「営業・企画力」上位ブランド
(「営業力ある」+「企画力がある」)*N=214
順位 ブランド名 回答率
(%)
1 サンリヤン 12.1
2 アンピール 9.3
2 ダイアパレス 9.3
4 コアマンション 6.0
5 アーサー 4.7

■表E マンションブランド 総合イメージベスト10
*N=856
順位 ブランド名 回答率
(%)
1 ダイアパレス 24.8
2 アンピール 20.8
3 サンリヤン 20.4
4 ロワール 17.6
5 JGMヴェルデ 15.9
6 サーバス 15.3
7 アーサー 13.8
8 コアマンション 12.0
9 アーバンパレス 10.5
10 エバーライフ 10.2


認知度トップは「ダイアパレス」
女性と30代には「アンピール」


 まずは、マンションブランドの認知度についてみてみよう。「名前を良く知っている」と「広告で良く見る」の2つの設問に対する回答数の合計をブランド別にみた結果が(表A)である。
 認知度トップはダイアパレス。豊富な実績やテレビCM等による印象深い広告が要因か。だが、全国ブランドでベスト5以内にランクしたのはダイアパレスのみで、地元マンションブランドの浸透ぶりがうかがえる。
 回答者の属性別にみてみると、ダイアパレスとアンピールの認知度の高さが際立っている。
 性別で男性の認知度トップはダイアパレス(64.8%)で次いでアンピール(49.2%)だが、女性ではこの順番が逆転し、アンピール(65.2%)、ダイアパレス(63.0%)の順。また年代別では、ダイアパレスが20代(54.0%)、40代(66.7%)、50代以上(57.1%)でトップだが、30代ではアンピール(69.4%)の認知度がわずかに上回っている。世帯年収別では「600万〜800万円未満」でアンピール(72.2%)が認知度1位のほかは、ダイアパレスが「200万円未満」(83.3%)、「400万〜600万円未満」(67.2%)、「800万〜1000万円未満」(57.7%)、「1000万円以上」(57.1%)ともにトップだった。

クオリティーも「ダイアパレス」
認知度と異なり全国ブランド優勢


 次に、マンションブランドのクオリティーについてのイメージをみるため、「品質が良いと思う」「高級感がある」という2つの設問に対する回答を合計した結果が(表B)である。
 2位以下を引き離してダントツの評価を受けたのは、ここでもダイアパレス。ベスト5にランクした7ブランドをみると、認知度の調査結果と異なり、地元マンションブランドはロワールとJGMヴェルデの2ブランドのみで、クオリティーでは全国ブランドが優勢だった。
 回答者の性別、年代別、世帯年収別にみてもトップを占めるのは大半がダイアパレスだが、女性はロワール(15.2%)、40代では東急ドエル・アルス(16.7%)、「800万〜1000万円未満」ではパークホームズ(26.9%)、「1000万円以上」ではグランドメゾン(17.9%)がクオリティー面で1位に選ばれている。

親しみがあり、信頼性が高い
好感度ナンバー1は「サンリヤン」


 マンションブランドを選ぶ基準として、クオリティーだけでなく、「親しみがある」「信頼性が高い」という項目も挙げられる。この2つの設問に対する回答合計から、ブランドの好感度をみたのが(表C)である。
 ここでの断然トップは、サンリヤン。マンション業者が公共交通機関を担う公益企業(西鉄)であることに加え、西鉄電車・バスの沿線などで展開している広告戦略が功を奏しているものと思われる。
 回答者の性別、年代別、世帯年収別にみても、サンリヤンは20代(トップはアーサーの14.0%)を除くすべての属性で調査ブランド中、ナンバー1。性別では男性(14.8%)よりも女性(20.7%)に好感度が高い。  年代別では40代(25.0%)に最も好感を持たれている。

営業・企画力も「サンリヤン」
地元ブランドが上位占める

 マンションブランドを展開する各社の営業力、企画力のイメージについてみたのが、(表D)。「営業力がある」と「企画力がある」の2つの設問に対する回答数の合計結果である。
 ここでのトップも好感度と同じく、サンリヤン。ベスト5以内にはダイアパレスを除き、地元マンションブランドが上位を占めている。
 この調査結果は回答者の実体験が求められるため、「持ち家(戸建て・マンション)あり」と回答した人に限ってみてみると、トップはサンリヤン(10.4%)で、2位がダイアパレス(9.4%)、3位が並んでアンピール(8.5%)とコアマンション(同)。さらに、「持ちマンションあり」の回答者に絞ってみてみると、サンリヤン(18.8%)とコアマンション(同)がともにトップで、次いでアンピール(14.6%)となっている。

総合トップは「ダイアパレス」
購入予定者では「サンリヤン」


 これまでみてきた《認知度》《クオリティー》《好感度》《営業・企画力》についてのマンションブランドのイメージを総合した結果が、(表E)である。
 総合トップはダイアパレス。ベスト10のブランドをみると、認知度の結果がそのまま総合ランキングに反映されたようだ。回答者の属性別にみると、年齢別の30代(トップはサンリヤン)を除いてダイアパレスがトップ。ほとんどの属性のベスト3はダイアパレス、アンピール、サンリヤンによって占められているものの、総合で10位以内にランクしていないブランドがベスト5に入っているのも目立つ。例えば、東急ドエル・アルスは年代別の40代で5位、世帯年収別の「200万円未満」では3位。また、パークハウスは「200万円未満」で5位、グランドメゾンは「1000万円以上」で3位にランクインしている。
 このアンケートでは、「マンションを購入する際、マンションブランドを重視するか」「マンションの購入・買い替え予定があるか」についても質問したが、「ブランドを重視する」と回答した人に限って集計してみると、3位のサンリヤンと2位のアンピールの順位が入れ替わった。
 また、「マンションの購入・買い替え予定がある」人に限った集計では、サンリヤンがトップに躍り出たのをはじめ、JGMヴェルデがひとつランクを上げて4位になったほか、アーサーとコアマンションがベスト5にランクインしている。

文/井上雅博 Inoue Masahiro
企画協力/クリオシティ

 

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